（2019.3.21：五島市鐙瀬ビジターセンター水槽）
2019年3月21日、北九州市立水環境館で飼育維持されてきた福江島産
アブラボテ６４匹が、五島市の鐙瀬（あぶんぜ）ビジターセンターに里帰り
しました。水環境館には2011年４月から福江のアブラボテを預かっていた
だき、８年に渡って繁殖させてもらい、世代を重ね、数も増えていました。
ですので、今回里帰りしたアブラボテはかつて北九州に移送した世代の
子孫です。
(2019.3.21：ビジターセンター職員による作業)
今回の里帰りには、実は特別な事情がありました。
北九州市立水環境館で、福江島のアブラボテの面倒を見てくれていたの
は、川原二朗さんという水生生物のエキスパートです。しかし今年から、
異動によって川原さんが水環境館から離れざるをえなくなってしまったの
でした。後任の方々はタナゴ類の飼育など全くわからないらしく、飼育は
引き継いでもらうにしても、今までのように維持できるとは限らない、という
ことで、川原さんはアブラボテの一部を福江島に託したいと考えたのでした。
３／２０日、川原さんはフェリーでアブラボテとともに来島され、私がそれを
受け取って自宅に持ち帰り、翌日の移送準備をしました。
アブラボテは合計６４匹。小さな袋に小分けされていましたが、一人で持っ
て来るのは｛重くて）非常に大変だったと思います。
(2019.3.21：ビジターセンター職員による作業)
川原さんは残念ながら翌朝には所用で島を発たざるをえませんでした。
トンボ返り状態で、申し訳ないことであったと思います。
ということで３／２１日、アブラボテを鐙瀬ビジターセンターに運び込むと、
職員が水槽に移してくれました。
(2019.3.21)
この日はアブラボテも新たな環境に緊張しているのか、少し縮こまってい
る印象でしたが、翌日にはもう慣れて、職員が近づいてくるとエサ待ちの
動きを見せるようになったということです。
６４匹はみな、生まれて一年未満と思われる若者たちです（川原さんが
そのように選んでくれたのでしょう）。今後、ビジターセンターで繁殖させる
ことができればいいのですが。
あるいは最近、五島市には若い移住者も来るようになっていて、その中に
は川の生きものが好きな人もいます。そうした人に一部を託するのも
良いだろうと考えるところです。川原さんの労を無駄にしないためにも。
今回のアブラボテの里帰りについては、西日本新聞が地方欄で取り上げ
て記事化してくれました。記事で、初めてアブラボテという魚が五島にいる
ことを知った人もいることでしょう。
(2019.6.17）