それ自体は決して悪いことではありません。映画の中では、主役の男女が最後に
たどり着く最果ての地…というイメージ設定でしたが、大瀬崎はそれを具現するに
ふさわしいと、監督のお眼鏡にかなったのでしょう。福江島にそんな場所があるこ
とを島民は誇ってよいはずです。
この映画が大いにヒットするかはわかりませんが、作品への評価は高いようですし
、それなりに知られた映画になるでしょう。今後の観光パンフなどでは大瀬崎を「悪
人」のロケ地になった場所として紹介するのではないでしょうか。
（大瀬崎灯台へ至る歩道）
五島市関係者によれば、「悪人」効果で大瀬崎に行く人が増えているといいます。
しかし、それが今後もずっと続くかは疑問です。それはおそらく一時的なものに過ぎ
ないでしょう。だから、大瀬崎にヘンテコな工事や整備をしてほしくない…のですが、
ちょっと私は懸念しています。
例えば、灯台のそばにコンクリの東屋を設置して景観を台無しにしてしまったり、
灯台に至る歩道を拡張して木々や貴重な草花をを伐採してしまったり…。
あるいは、まさかとは思いますが、灯台の横に映画の登場人物の銅像（笑）を建てて
しまったり…。もしかしたら、観光客の少ない冬の間にでも、大瀬崎で五島市による
不要な工事が行われてしまうのではないだろうか？不要で野暮な”サービス”は絶対
にしてほしくない。
「悪人」による知名度アップが、自然環境・景観を破壊する公共工事の格好の理由に
されてしまわないか、ちょっと懸念、いえ、かなり心配しています。「悪人」による効果
は一時的なもので、今後、観光客が爆発的に増えるということはないと思います。不
要な工事や整備をする金があるのであれば、むしろゴミ箱を設置（数年前まではあ
ったのに…）するとか、祈りの女神像へ至る木製の階段を補修すべきです。
どっちにせよ現場は西海国立公園内ですから、あまり勝手なことはできないはずです。
電話で話した限りでは私より若いのではないかと思えた西海国立公園の自然保護官
さん、ストッパーとしての役割をしっかり果たしていただくことを望みます。
※もっとも、大瀬崎の敷地は海上保安庁の管轄地が相当あるようなので、そちらも関
係しているかもしれません。
なお、上記は映画そのものおよび映画制作を非難するものではありませんので。念の
ため。
(2010.10.11記）