長崎・五島列島福江島の博物誌～ふくえ雑記帳３７
2012年２月公開の映画
「日本列島いきものたちの物語」

日本を舞台にした映画「日本列島いきものたちの物語」の公開が2012年２月に
決まりました。
内容は、四季折々の日本列島の動物たちを「家族」という視点でとらえたものの
ようです。
ニホンザルやヒグマ、キタキツネやニホンジカなどが主なようですが、それ以外
の生きものもいろいろ織り込まれるようです。制作は「ダーウィンが来た！生きも
の新伝説」などで自然映像制作に定評のあるNHKエンタープライズ（および関係
制作会社）が担当し、撮影には岩合光昭、中村征夫、嶋田忠をはじめとする著名
な映像作家が多数参加しています。日本の自然映像制作の総力を結集といった
試みといえます。

近年はイギリスBBC制作の「アース」や「オーシャンズ」「ライフ」など、自然ドキュメ
ンタリーの映画が好評を博しており、今回の作品が世界レベルにどこまで迫れる
かという意味でも注目と言えるでしょう。
なお、ナレーションはジャニーズ「嵐」の相葉雅紀、長澤まさみにガレッジセール・
ゴリ、そして黒木瞳という豪華な面々に決定しています。
詳しくは、勝手にリンクした下記ページにてご覧下さい。
http://www.nihon-rettou.jp/

実はこの映画、少しだけ福江・五島にも関わりがある（あった？）のです。
映画の撮影は２００９年から始まったのですが、その年の秋、なんと福江島でも少
しだけ撮影が行われたのです。私は縁あって撮影チームを案内する役を引き受け
、１週間ほど彼らの撮影に付き合いました。撮影対象はハチクマの渡りです。
しかしながら、特殊な機材を使ったりすることもあって、ギリギリまで撮影の日程も
決まらずという状態でした。私は９／２０日より前に現地入りすべきだと言っていた
のですが、結局チームが入ってきたのは９／２４日。はっきり言って遅かったと思
います。それまでには規模の大きい渡りも観察できていたのですが、撮影の始ま
った２５日以降、状況は尻すぼみになっていきました。
それでも、撮影初日は決して悪くない渡りが見られ、カメラマンもそれなりの映像を
撮っていたように見えました。
ちょっと可哀想だったのは、カメラマンが「ハチクマの渡り」を十分にイメージできな
いまま来島してしまったことです。NHKには、数年前に福江のハチクマの渡りを紹
介した番組があります。ですから、せめてその映像でも見ておけばイメージトレー
ニングができたと思うのですが、諸事情により、番組も写真も見ることができずに
来たということでした。撮影チームはいきなり初日にいい渡りに当たりましたが、そ
れ以降は…。カメラマンが十分に実力を発揮できたかは疑問です。

ハチクマ撮影チームは１０日近く福江に滞在し、その後は五島列島北部にある野
崎島に渡航。岩合光昭カメラマンと合流してシカの撮影に入りました。
こうして少しだけ撮影された福江のハチクマのシーンは、季節の移り変わりを示す
シーンとして使いたいという話でしたが、撮影初期ということで、機材のテストも兼ね
た撮影だったようです。ですから、おそらくは絶対に必要というシーンでもありません。
現時点での私の予想ですが、映画にハチクマのシーンが入るかどうかは微妙だろう
と考えています。残念ですが、映画に入らない可能性のほうが高いのではないかな
あ…と思っています。
ちゃんと撮ればいいスペクタクルになると思うのですけども、その後にチームが来島
していないことを考えれば、それ以上撮るつもりはない、あまり力点を置いていない
ということが推測できます。
撮影はまだ続いていると聞いていますが、今年中には基本的な編集も形ができるは
ずです。詳細を外に発表できる時期が来たら、ハチクマがどうなったか聞いてみるこ
とにしましょう。
(2011.9.19記）

（2014.11.1追記）
遅い追記で恐縮ですが、野崎島および福江島で撮影されたシーンは全落ちしました。残念ですが
全く使われなかったということです。