暗闇の白ヤスデ
ウエノヤスデ　（ホタルヤスデ科）
福江島固有種

(2017.5.18）

◆分布：福江島南部の溶岩洞窟（固有種）　　◆体長：４０ミリほど　　◆見られる時期：一年中

福江島はかつて火山活動があった場所で、島の南部の富江町には溶岩
トンネルが見られます。私はある作業のため、2016年からその一部に定期的に
入る機会を得ていますが（長崎県・五島市の許可を特別に得ています）、
その溶岩トンネル内に見られる白いヤスデです。
現状では1995年に出た調査資料しか情報がないのですが、それによれば
これはウエノヤスデという種類。世界でも福江島南部（富江町）の溶岩トンネル
のみに生息する固有種です。ウエノという名は、かつて富江町の溶岩洞窟の
生物を調査した洞窟生物学者・上野俊一氏にちなむものでしょう。


(2017.5.18）

体長を測ってみると、大きい個体は40ミリほどありました。


(2017.5.18）

撮影地の溶岩トンネルは、ライトがなければ全く光のない暗黒世界です。
火山活動が作り出した隔絶の世界で、この福江島固有の種が生まれていったのでしょう。

下の画像は、溶岩トンネル内のところどころに積もったコウモリのフンです。
このフンはトンネル内の生きものにとって非常に重要なもの（食べ物などとして）で
あり、ウエノヤスデもこの上で多く見られます。


(2017.5.18）

私の経験上では、光を嫌うように感じられます。真っ暗なので、撮影時には光を
当てないとピントも合わせられないわけですが、明るくすると逆方向に逃げて
いってしまいます。


(2017.5.18）

暗黒世界で何の役割があるのかわかりませんが、眼らしきものがありますし、
光を感じることは可能なようです。


(2017.5.18）

先ほども書きましたが、情報が非常に乏しく、生態などは全く不明です。


(2017.5.18）

写真が一般の世に出るのはおそらく初めてではないかと思います。
これまで島民は存在を知る術もなかった、知られざる島の固有種です。
(2017.6.24）

参考資料　
「溶岩トンネル野坑生態系安全性調査報告書」
　　　　　　　長崎県富江町/アジア航測株式会社

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