静かな汀（みぎわ）一面に
ウミニナ （ウミニナ科）
Batillaria multiformis
準絶滅危惧（NT) …環境省レッドリスト
絶滅危惧�U類（VU)…長崎県レッドリスト2011

　　　　　　　　　　　　　　　　(2011.5.7：旧福江市・堂崎）

分布：北海道南部〜九州　　　大きさ：３センチほど

雨が上がった堂崎、天主堂脇の静かな入り江です。潮の引いた浜辺一面
を無数の巻き貝が埋め尽くしていました。数十万とも数百万とも見えるこの
貝はウミニナです。



殻の長さは２，３センチほど。帯のような模様が見える殻の表面は、石畳
のような列で取り巻かれています。河口付近や穏やかな内湾の干潟に群
れ、浜の表面にたまった有機物を食べて暮らしています。干潟は生物に
よる大きな浄化作用があると言われますが、このウミニナもその一端を
担っているのでしょう。



よく似た種類にホソウミニナがありますが、それはウミニナよりやや細長
い殻で、外海に面したところを好みます。探せばおそらく福江にもあるで
しょう。



いくらでもいるように見えてしまうウミニナですが、東京湾などでは激減し
、一部では消滅してしまったところもあるといいます。環境省のレッドリス
トでは絶滅危惧�U類というランクに入れられ、２０１１年発表の長崎県レッ
ドリストでも準絶滅危惧種とされました。福江ではまだ自然度の高い干潟
がそこそこ残されているので、ウミニナも普通に見られますが、これがず
っと続くかどうかは、島民の意識と、配慮ある行政次第だと思います。
(2011.6.3記）

参考文献　「干潟の生きもの図鑑」　南方新社
　　　　　　「海辺の生きもの」 　山と渓谷社

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