県下最大の産地が福江島に
オキチモズク　 （チスジノリ科）
Nemalionopsis tortuosa
絶滅危惧�T類（CR+EN)…環境省レッドリスト2012
絶滅危惧�TA類（CR)…長�ｱ県レッドリスト2011

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2015.2.13：旧福江市内）

★分布：四国の一部、九州の一部および沖縄県

淡水に生えるモズクの仲間で、限られた場所でしか見つかっていない希
少な藻類で、各地で天然記念物や絶滅危惧種に指定されています。
そんな珍しい藻類が、最近になって福江島でも発見されました。しかも、
それは現在のところ長�ｱ県下最大の産地であるというのです。

オキチモズクは１９３８年、愛媛県東温市（旧温泉郡川上村吉久）にある
「お吉泉」周辺で見つかりました。「お吉」＝「オキチ」がその名の由来です。
この泉は「オキチモズク発生地」として国の天然記念物に指定されていま
す。
その後、福岡県、熊本県、長�ｱ県、鹿児島県、沖縄県でも発見され、長�ｱ
県では島原半島の数カ所で見つかっていましたが、2014年の時点では雲
仙市国見町の一河川のみで確認されているという状況だったとのこと。

福江島で新たな産地が見つかったのは2014年9月、島を訪れた水生生物
の研究者によってでした。その後の同年11月、長�ｱ大学の藻類の専門家
の現地調査で、これが希少種のオキチモズクであることが確認されたの
です。



オキチモズクが生えている場所は、意外にもコンクリート三面張りの小さ
な水路でした。しかし、過去にもこうした場所でオキチモズクが見つかった
例が知られています。



水深は５〜１０センチと浅く、水が常時流れています。その流れのそこか
しこで、赤茶けたオキチモズクが伸びていました。
図鑑では長さ１０〜４０センチとされているそうですが、福岡県での調査
では３ｍにもなったものが見られたようです。
太さは０．５ミリ前後で、枝分かれはあまりしないということでした。



さわってみるとヌルヌルしていて、1本だけ選り分けるのは難しかったです。



オキチモズクは現在、最新の国のレッドリスト(2012年版）で絶滅危惧�T類
（CR+EN)、長�ｱ県のレッドリスト(2011年版）でも絶滅危惧�TA類（CR)と、
最高ランクです。長�ｱ県では国の天然記念物に指定されている「土黒川
のオキチモズク発生地」（雲仙市国見町）でも30年以上前に絶滅したとさ
れ、他の県内発見地（数カ所）でも姿を消し、確実に生育しているのは雲
仙市国見町の釜蓋川のみになっていました。
今回の福江島での発見で、県内の他の場所（離島を含む）でも新たな産
地が見つかる可能性が出てきたという話です。



2014年11月に行われた福江島現地調査によると、オキチモズクはおよそ
５０ｍに渡って生えており、１０００株を越えると推定されています。今後も
よい状態で残されていけば良いのですが。長�ｱ県はともかく、五島市は
地元の自然に対する意識が非常に低く、環境保全や自然保護を担う担当
部署も存在しません。この島で、オキチモズクを守っていくのは、誰…？
(2015.12.11）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

※参考文献　「長�ｱ県生物学会誌　第76号(2015)」 長�ｱ県生物学会
　　　　　　　　 「藻類講座（HP」

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