2014年、私が五島の海で潜ったのはタンク数20本ばかり。決して多いとは
言えませんが、それでも、海の様子が昨年とはずいぶん違うように感じま
した。
いちばん気になったのは、水温が低かったことです。
私がダイビングをしたのは７月、９月と12月でしたが、12月はともかくとし
て、７月と９月に潜った時は、例年よりも１〜２度程度、明らかに水温が低
かったと思います。例えば、9月12日、若松島沿岸のポイントで潜った時の
水温記録は２４．５度。例年、この時期ですと２５〜２６度ぐらいはあり、快
適にダイビングができる季節なのですが。ダイビングウォッチあるいはコン
ピュータに示される数値が低いのはもちろんのこと、実感として寒さを感じ
ました。私は潜水中の寒さには非常に強いのですが、水中で1時間を越え
ると、少し寒く感じたのです。
南方系の季節来遊魚も少なめだったように思います。昨年は多くのポイン
トで目にしたクロユリハゼも、一度も見ませんでした。
また、奇妙だと思っているのは、海上保安庁の観測データでは、水温が
まあまあ高いことになっていたことです。五島にしばしば来られる海洋研究
者の話でも、近年は対馬海流の勢いが強すぎて定置網が流されるとか、
満潮時の水位が上がっているということでしたし、それほど暖流が強いなら
、普通に考えれば水温が高くなるのが道理かと思います。事実、海上保安
庁の観測値は高水温を示しているわけです。しかし、実際に潜っている私
たちとしては「寒い」わけです。これはどういうことなのでしょうか。
前述の海洋研究者にこの点を尋ねてみると、先生はそのことに驚いたうえ
で、「もしかしたら、対馬海流の勢いが強いために、水温の低い、深いとこ
ろの海水まで押されているのかもしれない」ということでした。
はっきりしたことは全くわからない状態ですが、ダイバーは海の変化をいち
早く知ることができる立場であることは間違いないので、今後も注意してい
かねばならないと考えています。
五島海域での潜水死亡事故
7月22日、私は五島北部・小値賀島の西方沖に位置する「高麗曽根（こうら
いぞね）」というポイントに遠征してダイビングをしました。ここは対馬海流の
影響が強いために水温と透明度が高く、島まわりでは出会えない魚群やサ
メなどにも出会えるビッグスポットです。海況がよい時、年に数回しか行くチ
ャンスがないポイントなのですが、私たちが行く前日、ここで一名のダイバー
が死亡する事故がありました。
五島のショップではなく、本土出発のダイビングツアーで、数名のお客さんが
いたようです。亡くなったのは東京から来ていた40代の男性ダイバーと報道
されていました。高麗曽根は流れが速くなることが多いので、そうしたことに
伴う事故だったのかもしれません。理由はよくわかりませんが、亡くなったダ
イバーが行方不明になってから、救援要請までかなり時間がかかったようで
す。同じ7月には、五島ではありませんが長崎市の海でも女性ダイバーが死
亡する事故が起こってしまいました。残念なことですが、こうした事例を教訓
に、安全なダイビングを常に心がけたいものです。
五島のダイビングショップ状況
２０１４年１２月現在、確認できる五島のダイビングショップは福江島に２
軒、中通島に１軒。これは2013年と変わりません。ただ、福江島のショッ
プから若手が独立したようなので、近いうちに福江島のショップが３軒に
増える可能性もあります。
