インチキ絵ハガキの話

2006年６月初めのこと、私は東京に戻るべく福江空港に来ていました。
そこでたまたま、ある絵はがきセットを見つけたのです。

タイトルは「五島列島の海底」。ほう、と思わず手に取ったのですが、
中を開けてビックリしました。５，６枚はあったかと思いますが、絵はが
きに印刷された写真は全て、五島の海の写真ではなかったのです。
写っていたのはノコギリダイやカスミチョウチョウウオなど、五島では
見られない魚や熱帯海域のサンゴ礁の風景でした。つまり、「五島列
島の海底」などといいながら、真っ赤なニセモノだったのです。
おそらく沖縄あたりで撮影されたものでしょう。作成したのは「A印刷」と
いう福岡の会社で、連絡先が書いてありました。そこに直接イチャモン
をつけようかとも思ったのですが、考えた末、五島市の観光協会にま
ずは電話で、その後は連絡先を明示したメールでそれを伝えました。

その後、そのハガキがどうなったかはわかりません。
でも、このハガキはきっとこれまで何年も売られていたのではないかと
思うのです。そういえば15年以上も前、私がまだダイビングを始める前
に福江で買った絵ハガキセットにも一枚だけ水中写真が入っていました。
それも、今思えば熱帯海域のサンゴ礁での写真、つまり五島の海底を
撮影したものではなかったような気がします。まだ、自宅のどこかにあ
るかもしれません。これまで、いいかげんな業者に好き勝手やられてい
たというわけですが、驚くのはこれが2006年だということです。

ついでに言えば、五島市の某施設のある壁面には大きく拡大した水中
写真が張られているのですが、これも五島の海の写真ではないと思い
ます。絵ハガキと同じく、五島にはいないはずの魚が写っているのでし
た。まさに五島の海は知られざる海なのかもしれません。
（07.1.7記）