(06.8.12：福江海中公園・水深10ｍ）
見た目はトロピカルでも温帯種
キンチャクダイ 巾着鯛（キンチャクダイ科）
Chaetodontoplus septentrionalis
(06.8.12：福江海中公園・水深10ｍ）
★分布：沖縄をのぞく相模湾以南 ★大きさ ：２０センチ
五島でも極めて普通に見られる魚で、水深3メートルぐらいの浅場から３０
メートルを越えるようなところでも見られます。海底近くの岩のすき間やサ
ンゴの下などをせわしく出入りしています。幼魚は色彩がかなり違うので
すが、まともな写真がまだ撮れていません。
一度、信じられない体験をしたことがあります。２０００年頃だったと思い
ますが、やはり福江海中公園付近の海で、キンチャクダイを見つけました。
その中で、ある一匹がこちらを見たまま、なかなか逃げないのです。私が
近づいていくと、岩の下にずりずりと下がろうとするのですが、泳ぐという
よりは胸びれを懸命に動かしてガクガクと小刻みにバックするのです。そ
して、ふとその体を見たところ、なんと尾ビレがないではありませんか。し
かも、何かに食べられたとかそういう感じではなく、ハート形のくぼみのよ
うになっているのです。最初から全く尾ビレがないようすでした。結局、こ
のキンチャクダイは大変な努力をして岩の下に逃げ込みました。奇形な
のかもしれませんが、尾ビレがない魚が自然界でほぼおとなにまで成長
したというのは驚き以外の何ものでもありません。いまだに信じられない
出来事ですが…あるいは水中で見た白昼夢だったのでしょうか。
（06.11.10記）