金の花咲く里山のラン
キンラン　金蘭 （ラン科）
Cephalanthera falcata
絶滅危惧�U類（VU)…環境省レッドリスト2015
絶滅危惧�U類（VU)…長�ｱ県レッドリスト2011

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2016年4月・島内某所）

★分布：本州〜九州　　★花の時期：４〜６月　★花の直径：１５ミリほど

本州から九州にかけての、雑木林などの中で見られるラン。海外では朝
鮮半島や中国東南部にも分布します。４〜６月頃に花をつけますが、そ
の時には高さ２０〜８０センチほどになります。写真のものは３５センチほ
どありました。島内で見られるランの中では、背の高い部類に入ります。

茎の先端につく黄色い花は直径１５ミリほど。その黄色の鮮やかさを金に
見立ててキンランの名があります。花は３〜１２個だそうですが、写真の
ものは３つの花をつけていました。



手のひらをすぼめたような姿、もう少し開くことも多いようですが、今回の
撮影タイミングではそうした状態ではありませんでした。
下の写真は、１ｍほど離れたところに生えていたもう1本。こちらは花が
２つ、左側の花はすでに痛んでおり、残った右側の花はあまり開いてい
ません。このような状態のまま（あまり開かずに）花が終わることも多いの
ではないかと思います。



葉は長さ８〜１５センチほどになり、盛り上がった葉脈が目立ちます。



東京などでも森林公園などで見ることができ、いわゆる里山、人里に近い
林で見られるランですが、私が福江島で認識できたのは2014年のことで
す。1980年頃には島内の学術調査でも確認されており、島内の知人もそ
の時代に見たことがあるという話でした。その後、1995年頃に行われた
島内の調査でも記録されていますが、私が知る限り、その後の情報は途
絶えてしまっていたようです。



全国的に数を減らしつつある状況で、2016年５月現在、国の最新レッドリ
スト（2015年版）では絶滅危惧�U類（VU)、長�ｱ県レッドリスト（2011年版）
でも同ランクとなっています。キンランが記録されている都道府県の数は
は北海道と沖縄をのぞく４４ということのようですが、そのほとんど全ての
都道府県でレッドリストに載せられています。

ランといえば、園芸目的に盗掘される種類が多いのですが、キンランは
持ち帰って鉢植えなどにしても育たないことが知られています。ですので、
減っている原因としては盗掘というよりは、森林開発などが大きいのでは
ないかと思われます。

写真のものも、年を重ねていけばやがて１０以上の花をつける時がくる
でしょう。その時を楽しみに待ちたいところですが、心ない人に採られて
しまう可能性が否定できないため、撮影場所は伏せておきたいと思いま
す。
(2016.5.11）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

※参考文献　「日本のランハンドブック�@　低地・低山編」　文一統合出版
　　　　　　　　 「山渓ポケット図鑑１　春の花」　山と渓谷社
　　　　　　　　　「五島の生物」　長�ｱ県生物学会編
　　　　　　　　 「長崎県レッドデータブック２０１１」　長�ｱ新聞社
　　　　　　　　　「日本のレッドデータ検索システム（ＨＰ）」

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