磯の豪腕ガニ
イボイワオウギガニ （イソオウギガニ科）
Eriphia ferox Koh & Ng. 2008

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2017.8.25：浜町・高崎公園）

★分布：東京湾〜奄美大島　　　★甲の幅：５５ミリ

南日本の磯で見られる赤黒いカニ。甲の幅は５センチ以上になり、磯で
出会うカニの中でも大型です。全体が重厚で、ハサミ脚もいかにも強そう
、まるで重戦車のようです。



磯の岩穴にすみ、基本的に夜行性らしいのですが、私は福江島の磯でし
ばしば日中に出会っています。潮の引いた磯をうろつくと時々見かけるの
ですが、こちらに気づくと本当に「ものすごい勢い」で、逃げていきます。
石のすきまなどに入り込むと、10分ぐらいでは出てきません。なかなか撮
影は難しいのですが、写真の個体はそう大きくないサイズで、運よく潮だ
まりのいい位置に追い込むことができました。逃げようにも逃げられない
状態なのです。



下は、ハサミ脚を広げて威嚇しているところです。



強力なパワーで貝殻さえも割ってしまいます。さまざまな貝類やヤドカリ、
フジツボ類などを好んで食べるといいます。そのようなことで、大型個体
にはさまれると相当な目にあいますので、不用意に手でつかむことは避
けるべきです。もっとも、人間など大きな外敵に対しては拍子抜けするほ
ど臆病のようなので、こちらが追い詰めない限りは大丈夫だと思います。
どんな生きものもそうですが、うっかり”逆襲”されることのないようにした
いものです（自戒を込め）。
(2018.1.26）

※参考資料　「海辺の生きもの」　東海大学出版会
　　　　　 　　　「海の甲殻類」　文一統合出版
　　　　　　　　「フィールド・ガイド　海辺の生物」　小学館
　　　　　　　　「海辺のエビ・ヤドカリ・カニ ハンドブック」 文一総合出版
　　　　 　　 「写真でわかる磯の生き物図鑑」 トンボ出版
　　　　　　　　「岩礁域でのイボイワオウギガニERIPHIA SMITHII MCLEAYの食性」
　　　　　　　　　　　富川なす美、渡邊 精　（甲殻類の研究　19巻 1990）

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