オスの頭はナポレオンの帽子
ヨシガモ　葦鴨　（カモ科）
Anas falcata
準絶滅危惧（NT)…長�ｱ県レッドリスト2011

(2016.2.22）

◆分布：日本では冬鳥（北海道では旅鳥または夏鳥）　　
◆大きさ（全長）：４８センチ（カラスぐらい）　　　◆福江で見られる時期：冬期（秋〜春）

東アジアのみで見られるカモ。シベリア東部方面やカムチャツカ、
サハリンで繁殖し、中国東部や台湾、日本列島などで越冬します。
日本では冬鳥として主に中部地方以南の本州に多く飛来するほか、
北海道には夏鳥として繁殖のために訪れます（一部はそのまま
越冬もするようです）。九州ではそれほど数多く見られませんが、
長�ｱ県では五島を含む各地で観察されています。ヨシガモのヨシは
「葦（ヨシ）＝アシ」で、アシ原のある水辺などでよく見られることから
ついた名前なのではないでしょうか。

上の写真はため池で撮影したオスです。額から頭の上のほうにかけて
赤茶色、そして目のまわりから後頭部は光沢のある緑色で、日が当たると
輝いて美しいです。しかし、今回はどんよりと曇った状態での撮影と
なりました。気になる方は、図鑑などでヨシガモ本来の美をご覧下さい。

カモの仲間は、オスの外見が派手でメスは地味な姿というものが多く
みられますが、ヨシガモもそのひとつです。下はオス１羽とメス２羽が
写っています。


(2016.2.22）

オスと一緒にいたからわかりましたが、メス単独であったなら、私も何ガモ
かすぐにわかる自信はありません。


(2016.2.22）

福江島では、少数ではあるものの毎年見られるように思います。
ため池や貯水地、玉之浦湾などでよく目にします。他のカモ類に混じって
いることも多く、距離が遠いことも少なくないので、双眼鏡があると確認
しやすいでしょう。


(2015.2.3）

玉之浦湾では１０〜２０羽前後の群れを見かけることが多いです。
イネ科の植物の種子や水草を好んで食べるそうですが、玉之浦湾では
ヒトエグサ（アオサ）をかなり食べているようにに見えました。アップでは
ありませんが、下の写真、右側の２羽はヒトエグサをくわえています。


(2015.3.2）

本土ではどうかわかりませんが、福江島にやってくる個体は多くが人の
接近に敏感で、なかなか近寄らせてくれません。玉之浦湾では、私が
道の脇にバイクを停めるとゆっくりと沖方向に離れていってしまいます。
車の中からの観察・撮影であれば大丈夫かと思いますが…。


(2015.3.2）

２０２２年８月現在、国の絶滅危惧種とはされていませんが、１０を越える
都道府県でレッドリストに載せられています。長�ｱ県もそのひとつで、
最新の２０２２年版では準絶滅危惧（NT)という位置づけです。


(2016.2.22：岐宿町・松山）

ところで、ヨシガモのオス成鳥は、頭が「ナポレオンの帽子」のような形で
あるとよく言われます。陸上で立っていたりするとそれがよくわかるのです
が、水面ではなかなかわかりにくいのが残念。水面で羽ばたきをしたり、
身震いをする時にも見られるチャンスがあると思うのですが、福江島では
なかなか近くで観察できないカモなので、撮影のハードルは高そうです。
(2016.3.18)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

参考資料
「山渓ハンディ図鑑　日本の野鳥」　叶内拓哉ほか　山と渓谷社 1998
「フィールドベスト図鑑　日本の野鳥」　小宮輝之　学研　2000
「長�ｱ県の野鳥」 長�ｱ県野鳥の会　2014
「日本のレッドデータ検索システム」（ＨＰ）　2022.8.18確認
「長崎県レッドリスト2022」

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