五島列島福江島の博物誌～ふくえ雑記帳　４５
ゴミまで囲う島

当コーナー「ふくえ雑記帳」では、これまで2回、イノシシに関する記事を
書いてきました。

★イノシシ上陸前夜 (2010.6.13)
★イノシシ上陸後 (2013.4.20)　

近年、上五島方面から島伝いに海を渡ってきたイノシシが南下を続け、
現在では福江島でも生息が確認されている状況です。
農作物被害などの対策のため、五島市内のあちこちでイノシシを囲い
こむための鉄柵が設置されています。
私の印象では、かなり早いスピードで設置されたなあと感じています。

そんな一角で、下のような光景を目にしました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2014.3.12：旧福江市大荒町)

ここは幹線道路から外れた道路脇です。画面上、コンクリ水路の右手が
道路、左手が山側になります。ご覧の通り、山側にイノシシ防護柵が設置
されているわけですが、柵の向こうに何か白いものがあるのにお気づき
でしょう。
拡大してみますと…そう、これはたくさんのポイ捨てゴミなのです。

ポイ捨ての輩については馬鹿者としか言いようがありませんが、それは
さておくとしまして。今回驚いたのは、防護柵が、このポイ捨てゴミの存在
を無視して設置されていることです。結果、ゴミは柵の向こう側に残されて
しまっています。

この場所は以前からポイ捨てゴミが多く、このゴミも柵の設置以前から
あったものと推測します。それを片付けることもなく、柵の向こう側に放置
してしまったのでは、回収することもできません。イノシシのみならず、ポイ
捨てゴミまで囲い込んでしまってどうするのでしょうか。

ポイ捨てゴミそのものは、事業発注者である役場や、設置業者の責任で
はありません。本来的には、柵の設置関係者がとがめられるような話では
ないと、私も思います。
しかし…本当にこれでいいのだろうか？と、どうしても考えてしまうのです。
例え自分の本来業務と関係なくとも、この状況の中、このまま柵を設置し
てしまったら、よろしくないなあ…とは思ったりはしてくれなかったのでしょ
うか…。役所に連絡して相談するとか…。私の、自分勝手に過ぎる考え
でしょうか。

これに限らず、島内では道路工事や草刈り事業のあと、（以前からあった）
ゴミだけはそのまま放置されていることが珍しくありません。
福江島にはリピーター観光客が少ないらしいのですが、その要因の一つ
に、「あちこちにゴミがたくさん捨てられ、放置されていること」もあるので
はないかと疑っています。こんな光景を見たら、幻滅する人もいるでしょう。
五島市や島民は、放置ゴミに対する意識をもう少し高いレベルにしていく
よう、考えたほうがいいのではないのでしょうか…。
(2014.3.26)