長崎 五島列島・福江島の博物誌
福江島の哺乳類 (現在２０種）

「長崎県の哺乳類（松尾公則 著/長�ｱ新聞社刊））」によれば、五島列島の陸上に生息する
哺乳類は２４種類。この数字には１９６９年に中通島で1匹の記録があるというタヌキは
入っていません。また、野生化しているイヌ、イエネコが含まれた数字です。
現在、五島列島で知られる哺乳類は全て、福江島で見ることができます。
そして2015年、福江島では五島列島で初めてコテングコウモリが記録されたので、
福江島の陸生哺乳類はイエネコやイヌを除いて２３種ということになります（2016年7月現在）。
この他に、周囲の海にはイルカ・クジラなどの海棲哺乳類がみられます。

なお、長崎県本土で見られるタヌキ、キツネ、アナグマやテンは現在の福江島では見られま
せんが、貝塚の調査結果などから、タヌキおよびテンは過去に生息していた時代があったと
考えられます。また、数十年前までニホンカワウソも広く生息していたようで、80代以上の
お年寄りには「カワウソを見たことがある」「声を聞いた」と語る人が今もいます。

ネズミの仲間
五島列島では、これまで６種類のネズミ類が知られています。アカネズミ、ヒメネズミ、
ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ、カヤネズミです。

クマネズミ	アカネズミ	カヤネズミ	ヒメネズミ

リスの仲間
五島列島には在来のリス類はいませんが、福江島には外来種のクリハラリス（タイワン
リス）が生息しています。かつて鬼岳山麓にあった牧場で１９８０年代半ば頃から飼育
されていたらしく、それが逃げ出したか、放たれたと考えられています。生息の中心は
鬼岳周辺ですが、翁頭山周辺でも定着が確認されており、生息域がじわじわと広がって
います。

クリハラリス

ウサギの仲間
福江島にはニホンノウサギが生息しています。

ニホンノウサギ

トガリネズミ・モグラの仲間
福江島ではトガリネズミ科のニホンジネズミ、ジャコウネズミの記録がありますが、
ジャコウネズミ（移入種）は近年の記録がなく、絶滅したと考えられています。
また、モグラ類ではコウベモグラとヒミズの２種が生息しています。

コウベモグラ	ヒミズ

コウモリの仲間
2016年7月までに、福江島で記録されているのは７種類。市街地にも多いアブラコウモリ（イエコウモリ）を
はじめ、キクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、ユビナガコウモリ、モモジロコウモリ、ヤマコウモリ、
コテングコウモリです。ヤマコウモリは樹洞にすむ比較的大型の種類ですが、長期間記録がなく、現状は
不明です。コテングコウモリは2015年、五島列島では初めて生息が確認されました。

アブラコウモリ	キクガシラコウモリ	コキクガシラコウモリ	ユビナガコウモリ	モモジロコウモリ	コテングコウモリ

イタチの仲間
在来のニホンイタチと、移入種であるチョウセンイタチ（シベリアイタチ）が生息します。

イタチ属の一種

シカの仲間
ニホンジカが生息しますが、近年、島内各地で増えていっているようです。

ニホンジカ

イノシシの仲間
イノシシ（亜種ニホンイノシシ）が生息します。福江島では明治期〜戦前までに狩り尽くして一度絶滅したはずが、
近年になって上五島方面から島伝いに侵入しました。島内で急速に増えつつあり、懸念されています。

イノシシ

イルカ・クジラの仲間
五島近海は江戸時代に捕鯨が盛んな場所でした。その当時はセミクジラ、コククジラ、ザトウクジラや
ナガスクジラが回遊してきた海だったのです。現在、こうした大型クジラが五島で見られることはまれ
ですが、最近、福江島の南の沖合では春〜夏にマッコウクジラが見られることがわかってきています。
イルカ類はまだそれなりに生息し、マイルカ、スジイルカ、マダライルカやカマイルカ、ハンドウイルカ、
オキゴンドウ、ハナゴンドウなどの記録があります。最近では、離島では極めて珍しいスナメリも観察
されています。

オキゴンドウ	ハナゴンドウ	コブハクジラ8.8

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